賃貸費用チェッカーβ
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断られた後の対処特約・契約書

「特約に書いてあるので払う必要があります」
と言われた

費用を断ろうとしたら「特約に記載されています」と言われた。 書いてあれば必ず有効なのか、サインした後でも確認できるのか。特約の有効要件から整理します。

「書いてある」と「有効である」は別の話です

特約への記載があっても、有効性の要件を満たしていない場合は争える余地があります。また、サインしたことが「内容を理解した上での同意」と同義ではありません。

1. 特約とは何か

特約とは、民法や借地借家法の原則(任意規定)とは異なる取り決めを、当事者間で合意して定めたものです。契約書の「特約事項」欄や重要事項説明書の特記事項に記載されます。

特約が使われる場面の例:退去時のクリーニング費用の借主負担化、鍵交換費用の借主負担化、消毒代等のオプションサービスへの同意など。

特約によって原則と異なる義務を定めること自体は認められています。ただし、有効となるには要件を満たす必要があります。

2. 特約が有効となる3つの要件

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」および判例では、特約の有効性に以下の要件が示されています。

特約の必要性があり、暴利的でないこと

合理的な理由がなく一方的に借主に不利な特約は、有効性が問われます。

借主が通常と異なる義務を負うことを認識していたこと

「書類を渡された」「読み上げられた」だけでは不十分とされる場合があります。借主が内容を理解していたかが問われます。

借主がその義務負担の意思表示をしていたこと

形式的なサインではなく、内容を理解した上での実質的な同意が求められます。「サインを急かされた」「説明がなかった」場合は同意の実質が問われます。

3. サインは「同意」を意味するか

サインの有無は同意の一要素ですが、サインがあれば必ず有効という意味にはなりません。

内容の説明なしに「ここにサインしてください」と言われた

任意サービスであることの説明がなく、必須と思わされてサインした

書類が多く、特約欄を詳しく確認できる状況でなかった

契約当日に初めて書類を見せられ、その場でサインを求められた

このような状況でのサインは、②③の要件を満たさない可能性があります。「説明を受けた記憶がない」という事実の確認は、借主の正当な行為です。

4. 特約の有効性を確認する方法

業者への確認はメールで行い、記録を残しましょう。

「この特約について、いつ・どのような形で説明を受けましたか」

説明の有無・タイミング・方法を記録に残します。「重説で読み上げた」という回答なら、その際に任意サービスであることが明示されていたか確認します。

「この費用が任意サービスであることの説明を受けましたか」

任意サービスであることの告知は宅建業者の説明義務の一部です。「任意とは説明しなかった」という回答は記録価値があります。

「この特約が本来の原則(貸主負担等)と異なることの説明がありましたか」

クリーニング費や鍵交換など、本来は貸主負担が原則の費用を借主負担とする場合、その理由の説明が必要とされています。

5. 確認後の動き方

説明があったと回答された場合

「どのような説明を・いつ受けたか」を具体的に確認します。説明の内容が不十分であれば、引き続き根拠の開示を求めます。

説明がなかったと認めた場合・答えない場合

この事実を記録します。②③の要件を欠く特約として、消費者センター・行政窓口・弁護士への相談材料になります。

それでも解決しない場合

消費者センターまたは法律相談窓口に、メールのやり取りを持参して相談することができます。特約の有効性の最終判断は専門家によるものになります。

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法的根拠・参考資料

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」平成23年8月——特約の有効要件

「賃貸借契約に付帯して、…特約が付けられることがあります。特約が有効となるためには、少なくとも以下の要件が必要と考えられる。①特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること、②賃借人が特約によって通常の原則と異なる特別の負担を課されることを認識していること、③賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること」

消費者契約法第10条(不当条項の無効)

「消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする」——特約への記載と署名があっても、この要件を満たさない場合は無効となり得る。

宅地建物取引業法第35条第1項(重要事項説明義務)

特約の内容・性質・借主への影響は重要事項説明の対象。「読み上げた」「記載がある」だけでは同意の有効性の根拠として十分ではなく、借主が通常と異なる負担を認識していたことの確認が必要。

都道府県による宅建業者への行政処分

特約の一方的な利用による原状回復費・清掃費の請求は、都道府県の消費生活センターや宅建業法担当部署への相談材料となる。各都道府県は宅建業者への行政処分(業務改善指示・業務停止・免許取消)をウェブサイト上で公表しており、特約関連の問題事案も含まれる。

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