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更新料徹底解説

更新料は払わなくていい?
特約・法定更新・二重請求まで徹底解説

「更新料1ヶ月分」——毎年あるいは2年ごとに請求されるこの費用、本当に払わなければならないのか。 特約がない場合・法定更新の場合・二重請求になっているケースなど、払わなくていい状況を整理します。

更新料に法律上の義務はありません——契約次第です

更新料は法律で定められた費用ではなく、契約書(特約)に記載がある場合にのみ支払い義務が生じます。特約がなければ払う根拠はなく、法定更新になった場合も特約次第では不要になります。

1. 更新料とは何か——法的性質

更新料は「賃貸借契約を更新することへの対価」として慣行的に請求される費用で、法律上の定めはありません。民法・借地借家法のどこにも「借主は更新料を払わなければならない」とは書かれていません。

その法的な性質については諸説あり、「賃料の前払い」「更新拒絶権の放棄への対価」「賃貸借契約継続の対価」などと解釈されてきましたが、最高裁は明確な性質決定をせず「有効性」のみを判断しています(後述)。

更新料が発生する条件

  • 契約書または特約に「更新料〇ヶ月分」の記載がある
  • 重要事項説明書にも記載・説明がある
  • 借主がその内容を理解した上で署名している

上記をすべて満たす場合に支払い義務が生じます。どれかが欠ける場合、有効性が問われます。

2. 最高裁2011年判決の意味と限界

2011年7月15日、最高裁は「更新料特約は消費者契約法10条に違反せず有効」と判示しました。これにより「更新料は無効」という主張は原則として認められなくなりました。

判決が示した「有効」の条件

  • 更新料が1〜2年に1ヶ月程度であること(金額が相当の範囲であること)
  • 賃貸借契約書に明確に記載されていること
  • 重要事項説明を受けていること

判決が「有効」と言えない場面

  • 特約に記載がない
  • 記載はあるが説明がなかった
  • 金額が「相当の範囲」を大きく超える(毎年2ヶ月分、など)
  • 法定更新時の扱いが特約に明記されていない

判決は「適切な特約があれば有効」と言っているのであり、「更新料はすべて有効」と言っているわけではありません。この区別を理解することが重要です。

3. 払わなくていい4つのケース

ケース① 契約書に記載がない

特約への記載がなければ、更新料の支払い義務は原則として発生しません。「慣行だから」「周りが払っているから」は根拠になりません。契約書の特約欄を確認してください。

ケース② 法定更新になった場合(特約の記載方法次第)

法定更新(合意なしの自動更新)が生じた場合、特約に「法定更新の場合も更新料を払う」と明記されていなければ、支払い義務がない可能性があります。特約の文言が重要です(後述)。

ケース③ 重要事項説明がなかった・説明が不十分だった

更新料について重要事項説明を受けなかった、または金額・条件の説明が不十分だった場合、特約の有効性が問われる余地があります。

ケース④ 金額が「相当の範囲」を超える

最高裁判決は「相当の範囲」を前提としています。毎年2ヶ月分など極端に高額な場合、消費者契約法10条による無効の主張余地が残ります。

4. 法定更新と更新料の関係——最重要

ここは最も見落とされやすいポイントです。普通借家では合意なく期間が満了すると「法定更新」になります。このとき、更新料を払う義務があるかは特約の書き方次第です。

義務が生じうる特約の例

「本契約を更新する場合(法定更新を含む)、借主は更新料として賃料1ヶ月分を支払う」

→「法定更新を含む」と明記されていれば請求根拠あり

義務が生じにくい特約の例

「本契約を合意更新する場合、借主は更新料として賃料1ヶ月分を支払う」

→「合意更新」と限定されていれば法定更新時は対象外の可能性

法定更新になった場合の選択肢

特約に「法定更新を含む」と記載がない場合、法定更新時の更新料請求に応じる必要がないという見方があります。このケースでは「特約の適用範囲として法定更新が含まれるかを書面で確認させてください」と問い合わせることができます。

注意:法定更新を意図的に起こすことのリスク

「法定更新にすれば更新料が不要では」と考えて意図的に合意を遅らせる行為は、貸主との関係悪化を招くリスクがあります。また、法定更新後は「期間の定めのない契約」になり、自分が退去したい場合の手続きが変わります(3ヶ月前の解約申し出が必要)。メリット・デメリットを確認した上で判断してください。

5. 更新料 vs 更新事務手数料——二重請求の問題

更新時に「更新料」と「更新事務手数料」の両方を請求されているケースがあります。これは別の名目ですが、実態が重複している可能性があります。

更新料

  • 支払先:貸主(オーナー)
  • 性質:契約更新の対価
  • 根拠:特約への記載
  • 相場:賃料0.5〜1ヶ月分

更新事務手数料

  • 支払先:管理会社・仲介会社
  • 性質:更新手続きの事務費用
  • 根拠:特約または慣行
  • 相場:賃料0.5ヶ月分前後

両方が請求される場合、実質的に毎回1.5〜2ヶ月分の費用が発生します。確認すべきは以下の点です。

「更新事務手数料」の特約への記載があるか

更新料同様、記載がない場合は根拠が問われます。

「更新事務手数料」の内容が具体的に示されているか

「更新手続きの事務費用」とされているが、実際に何の作業をしているかを確認できます。

両方が特約に記載されているか

記載があっても、両者の合計が「相当の範囲」かどうかが問われます。

6. 地域差と「慣行」について

更新料は全国共通ではなく、地域によって大きく異なります。

関東(特に東京・神奈川)

更新料:多い

2年更新・1ヶ月分が主流。特約記載が一般的。

関西(大阪・兵庫など)

更新料:少ない

更新料の慣行がない地域が多い。

その他の地域

更新料:まちまち

地域・物件・管理会社によって異なる。

「慣行だから払うべき」という説明は、地域によっては慣行がない地域の借主に対して成り立ちません。また、仮に地域の慣行であっても、特約への記載と説明がなければ支払い義務は生じません。

7. 定期借家の「再契約料」との違い

定期借家では「更新」がなく「再契約」になります。再契約時に「再契約料」を請求されることがありますが、これは法的性質が異なります。

普通借家の更新料

  • 法定更新でも問題になることがある
  • 特約次第では払わなくていい
  • 最高裁判決が一定の枠組みを示す

定期借家の再契約料

  • 再契約は双方の合意が必要
  • 貸主が条件として提示できる
  • 拒否すれば再契約なし(退去)になる可能性

定期借家の再契約料は、「払わなければ再契約しない」という条件設定が可能なため、普通借家の更新料より借主の交渉力は低くなります。ただし金額の妥当性・特約記載の有無は確認する価値があります。

8. 更新料の交渉・確認の進め方

契約書の特約欄を確認する

「更新料」「更新事務手数料」それぞれの記載内容・金額・条件を確認します。「法定更新を含む」の記載があるかも重要です。

重要事項説明書の確認

更新料の説明が重要事項説明書に記載されているか確認します。記載がなければ説明義務の観点から確認できます。

金額と根拠を書面で確認する

「更新料〇ヶ月分の根拠と、更新事務手数料が別途請求される場合はその内訳をお教えください」とメールで確認します。

長期入居を交渉材料にする

「引き続き長期入居を希望しています。更新料の減額または免除を検討いただけませんか」と交渉することは可能です。空室を嫌う貸主は応じるケースがあります。

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法的根拠・参考資料

最高裁判所 平成23年7月15日 第二小法廷判決(民集65巻5号2269頁)

「更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条にいう『民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの』には当たらない」——「適切な特約があれば有効」を意味し、すべての更新料を無条件に有効とするものではない。

消費者契約法第10条(不当条項の無効)

「消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする」——金額が高額すぎる場合や説明が不十分だった場合に無効の余地が生じ得る。

借地借家法第26条第1項(法定更新)

「当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に…更新をしない旨の通知…をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす」——法定更新時に更新料が発生するかは特約の文言次第(「法定更新を含む」の記載が分岐点)。

宅地建物取引業法第35条第1項(重要事項説明義務)

更新料の金額・条件・発生タイミングは重要事項説明の対象。説明がなかった・不十分だった場合、特約の有効性が問われる余地がある。

借地借家法第38条(定期借家契約の要件)

定期借家として有効に成立するには、契約締結前に「更新がなく期間満了で終了する」旨を記載した書面を別途交付・説明することが必要(第38条第2項)。この手続がない場合、普通借家として扱われる可能性がある。

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