「オーナーの条件です」で話を終わらせる手口と根拠を確認する方法
「この費用は必要ですか?」と聞くと、「オーナーの条件です」「管理会社の規定です」と返ってきて、それ以上の説明がない。この手口は決定権を「遠くにいる第三者」に押し付けて、交渉を諦めさせる効果があります。実態と対処法を解説します。
結論:「オーナーの条件」には書面での確認を求められる
オーナーや管理会社が費用を条件として設定しているなら、それは重要事項説明書や契約書に記載されているはずです。「書面でご確認させてください」と求めることで、条件の実在性を確かめることができます。書面が出てこない場合は、その条件の実態を問うことができます。
1. この手口の仕組み
「オーナーの条件です」という言葉には2つの効果があります。
効果①:交渉相手を遠ざける
目の前の担当者に話しても「オーナーが決めていること」として、 交渉相手が存在しない状況を作ります。 「では、オーナーに確認してください」と言いにくい雰囲気を作ることで、 交渉を諦めさせます。
効果②:根拠を曖昧にしたまま終わらせる
「オーナーの条件」と言えば、なぜその費用が必要なのかの説明をスキップできます。 実際にオーナーがそう言っているのか、担当者が「言いやすい言葉」として使っているのかは 外から分かりません。
2. よく使われるフレーズ
「オーナーの条件なので変えられません」
よく使われる場面:消毒代・24時間サポートなどの任意費用
「管理会社の規定で全物件一律です」
よく使われる場面:書類作成費・保証会社指定など
「弊社ではなくオーナーが決めていることです」
よく使われる場面:礼金・保証会社の選択肢なし
「私の裁量ではどうにもなりません」
よく使われる場面:交渉を個人の問題にすり替え
「上の者に確認しましたが変えられないとのことです」
よく使われる場面:社内で却下されたように見せかける
3. 書面での確認方法
本当にオーナーや管理会社が条件として設定しているなら、 以下のいずれかに記載されているはずです。
重要事項説明書
物件の条件・費用に関する重要事項は重説に記載されるべきものです。「重要事項説明書のどの箇所に記載されていますか」と確認できます。
賃貸借契約書
借主が負担する費用・条件は契約書に記載されます。「この費用に関する条文はどこですか」と聞けます。
管理規約・入居条件書
管理会社が定める規約があるなら、書面で存在するはずです。「書面でご確認させてください」と求められます。
聞き方の例
「オーナーの条件とのことですが、 重要事項説明書またはその他の書面でその条件をご確認させていただけますか。 書面で内容を確認した上で判断したいと思います。」
4. 書面を出してもらえない場合
「書面を確認させてください」と言っても書面が出てこない場合、 以下の2つの可能性があります。
可能性①:書面が存在しない
実際にはオーナーが条件として定めていないが、 そのように言っている場合。 書面が存在しないことは、「オーナーの条件」の主張の根拠が 薄いことを示します。
可能性②:確認に時間がかかる
実際に確認が必要な場合。この場合、確認が完了してから 判断することを伝えましょう。「書面を確認してから返答します」 と明示することで不当な急かしに対応できます。
どちらの場合でも、「書面で確認できない状態では判断できません」 という立場を取ることができます。 書面を求めたこと・それに答えてもらえなかったことは記録になります。
5. 業者の返しパターンと対処
「オーナーと直接話すことはできません」
「直接お話しする必要はありません。書面(重要事項説明書・入居条件書など)でその条件をご確認いただければ十分です」と伝えましょう。
「書面にはありませんが口頭での条件です」
「口頭条件については、書面でご連絡いただけますか。内容を確認した上で判断したいと思います」と返しましょう。口頭のみでは確認のしようがないという立場を取れます。
「これは業界では一般的な費用です」
「一般的かどうかと、借主が負担すべき根拠は別の話です。この費用を借主が負担する根拠を書面でご説明いただけますか」と返しましょう。
「(そこまで言うなら他の物件をご紹介します)」
「ありがとうございます。ただ、根拠の確認は通常の確認行為です。他の物件になる前に、この費用の根拠を書面でご説明いただければ判断できます」と伝えましょう。確認を諦めさせようとする場合は立場を明確にします。
参考・出典
- 1.宅地建物取引業法 第47条(虚偽の説明・誤解させる行為の禁止) — e-Gov 法令検索
- 2.宅地建物取引業法 第31条(誠実義務) — e-Gov 法令検索
関連記事