敷金が全額返ってこない・いつ返ってくるのか
退去後に敷金が返還されない・いつ返ってくるかわからないというケースは多くあります。返還時期・差し引ける費目の範囲・精算書の確認方法を理解することが重要です。
結論:敷金は退去・明渡し後に速やかに返還が原則(民法622条の2)。差し引ける費目は借主の帰責事由による損傷分のみ
敷金は賃貸借契約終了・明渡し後に返還が必要です(民法622条の2)。合理的な期間(1〜2ヶ月)を超えても返還されない場合、内容証明郵便での催告が有効です。差し引ける費目は借主の帰責事由(故意・過失・通常の使用を超える損傷)に限られ、経年劣化・通常損耗は貸主負担が原則です。
よくある誤解
よくある誤解
「精算が終わらないと返還しなくてもよい(期限なし)」
「敷金の範囲内なら何でも差し引ける」
「退去したら敷金は戻ってこないのが普通」
敷金から差し引ける費目・差し引けない費目
| 費目の例 | 負担区分 | 根拠 |
|---|---|---|
| 経年劣化・日焼け・変色 | 貸主負担(差引不可) | 国交省GL・通常損耗 |
| クロスの通常汚れ・変色 | 貸主負担(差引不可) | 国交省GL・耐用年数控除 |
| 借主が故意・過失でつけた傷・穴 | 借主負担(差引可) | 民法621条 |
| ペット飼育による損傷・消臭 | 借主負担(差引可・残存価値控除あり) | 国交省GL |
| 入居時からの損傷(写真で証明) | 貸主負担(差引不可) | 原状回復の原則 |
| クリーニング費(特約なし) | 貸主負担が原則 | 国交省GL・民法601条 |
返還が遅れる場合の対処手順
精算書(明細書)の交付を書面で求める
費目・金額・負担区分の確認が起点
精算書の内訳を国交省GLに基づいて確認する
経年劣化・通常損耗が含まれていないかチェック
返還を求める書面(内容証明郵便)を送る
送付記録が後の行政相談の材料になる
消費者センター(188)・宅建行政への相談
宅建業者の対応として問題になる余地がある
少額訴訟・支払督促の検討
60万円以下の敷金なら少額訴訟を活用できる
業者の返し別の対処
業者が言うこと
「精算が終わり次第、返金します(いつになるかわかりません)」
実態
精算が無期限に延びる説明は返還義務の観点から問題が生じる可能性があります。退去後に合理的な期間(1〜2ヶ月)を経ても精算が示されない場合、内容証明郵便での催告が有効です。
返し方
「いつ頃までに精算書と返還金額を確認できますか?退去後〇ヶ月が経過しており、返還の見通しをご説明ください。」
業者が言うこと
「修繕費用が敷金を超えたので、追加で〇〇万円払ってください」
実態
追加請求の場合、精算書の内訳(各費目の金額・数量・単価・理由)を確認することが重要です。経年劣化・通常損耗は貸主負担が原則であり、敷金超過分を全額追加請求できるかどうかは個別の状況によります。
返し方
「精算書の内訳(各費目の金額・数量・単価・国交省ガイドラインに基づく負担区分)をご提示ください。内訳の確認後に対応を検討します。」
業者が言うこと
「クリーニング費・補修費で全額充当しました」
実態
敷金全額をクリーニング費・補修費で充当する場合、各費目の内訳・算定根拠・国交省ガイドラインに基づく負担区分の確認が必要です。「全額使いました」だけでは根拠の説明にはなりません。
返し方
「敷金全額充当の内訳として、費目ごとの金額・算定根拠・入居年数に基づく残存価値の考慮の説明をお願いします。」
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