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受領構造施工費の中間差額

消毒代・クリーニング代の中間マージン問題:業者が受け取った金額は施工業者に全額届いているか

消毒代・クリーニング代などのサービス費用は、不動産業者が一括で受け取り、実際の施工業者に支払うかたちが一般的です。しかし業者が受け取った金額と施工業者への支払い金額が一致していない場合、その差額の性質が問われます。

結論:同意した金額が何の対価だったかを問う。差額の扱いによって追及の角度が変わる

重要事項説明書に記載された金額は、借主が施工の対価として同意した金額です。業者が受け取った金額が施工業者への支払いと一致しない場合、その差額が①施工代の一部か②別名目の手数料かで問われる論点が変わります。

1. 費用の受領構造とは

消毒代・クリーニング代などのサービス費用は、多くの場合、不動産業者(仲介会社・管理会社)が 借主から費用を受け取り、実際の施工業者に発注・支払いするという構造になっています。

一般的な費用の流れ

借主→ 支払い →不動産業者→ 発注・支払い →施工業者

この流れが正常な場合、借主が払った金額=施工業者への支払い金額になります。

問題が起きるのは、不動産業者が受け取った金額と施工業者への支払い金額が一致しない場合です。 差額がどこに行っているのかが書面上で説明されていないと、同意した内容と費用構造が 一致しているか確認できない状態になります。

3. 差額の扱いによる二択の論点

差額の説明を求めると、業者の回答は大きく2つに分かれます。 どちらに答えても、確認すべき論点が生まれます。

①「受け取った全額が施工業者への支払いです」

この回答が正確であれば、差額問題はありません。 ただし、施工業者への発注書・支払い記録(振込明細等)を書面で確認する材料になります。 提示できない場合、回答の正確性に疑問が残ります。

②「差額は弊社の手数料です」

手数料であれば、①それが署名時点に書面で説明されていたか、 ②仲介手数料との合算で法定上限(賃料1ヶ月分)を超えていないか、の2点が問われます。 署名後に初めて手数料と説明された場合、署名時点の同意対象にその手数料が含まれていたかが問題になります。

4. 確認すべきこと

受取人は誰か

領収書の発行者・宛先が不動産業者か貸主か確認します。業者が受領している場合、業者から施工業者への支払い記録の確認が必要です。

施工業者への発注金額・支払い記録

業者が請求している金額と、実際の施工業者への支払い金額(発注書・振込明細等)が一致しているか確認します。業者が一括受領している場合、この照合が可能かが重要です。

差額の説明が署名前にあったか

差額が存在する場合、その差額の性質(施工代か手数料か)の説明が署名前に書面でなされていたかを確認します。

仲介手数料との合算

差額を手数料とするなら、仲介手数料と合算して賃料1ヶ月分を超えていないか確認します(宅建業法46条・告示)。

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5. 業者の返しパターンと対処

「差額については開示義務がありません」

「開示義務の有無ではなく、借主が署名時点で同意した内容(重説記載の施工代全額)と実際の費用構造が一致しているかを確認しています。施工業者への支払い記録を書面でご提示いただけますか」と返しましょう。

「弊社の管理費・取次費用として受け取っています」

「管理費・取次費用の性質であれば、署名前の重説でその金額と名目を説明いただいていたはずですが、重説のどの記載が該当しますか。また仲介手数料との合算金額も確認させてください」と確認しましょう。

「施工業者への支払い記録は出せません」

書類を提示できないこと自体を記録します。「支払い記録の提示が難しいとのご回答として承りました」とメールで記録し、消費生活センター・宅建行政への相談材料とします。

6. 参考:関連する判例

東京地方裁判所 令和4年6月22日判決

業者が「新規契約広告宣伝費」という名目で受け取った費用について、 実質的に仲介手数料の上限を超えた受領と判断し、不当利得として 約48万円+42万円の返還を命じた。名目が何であれ、 受け取りの実質が仲介報酬に当たるかを問う際の参考事例。

東京高等裁判所 昭和57年9月28日判決

仲介業者が広告費を別途受領するには、①特別な広告の実施、②依頼者からの事前依頼、 ③依頼者の承諾という3要件が必要と判示した。 サービス費用の差額や手数料についても、事前説明・承諾の有無が判断基準になるとされる根拠として参照できる。

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