鍵交換代は払わなくていい?貸主負担が原則の理由と実施を確認する方法
賃貸の初期費用に「鍵交換代」として1〜3万円が計上されることがあります。貸主負担が原則とされている費用ですが、借主に請求されるケースも多くあります。費用の根拠と実施を確認する方法を解説します。
結論:ガイドライン上は貸主負担が原則・実施確認が重要
国土交通省のガイドラインでは、入居に際しての鍵交換は貸主負担が原則とされています。借主が負担する場合、その根拠の説明と実際の交換実施を確認できる書類(交換業者の領収書・鍵番号等)の提示を求める価値があります。
1. ガイドライン上の原則
国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、入居に際しての鍵交換費用は貸主負担が妥当とされています。 理由は「前入居者が合鍵を持っている可能性があり、その管理責任は貸主にある」という考え方です。
ガイドラインの考え方
鍵交換は入居者の安全のための措置であり、物件を適切な状態で引き渡す貸主の義務の観点から、 貸主が費用を負担するのが妥当とされています。
ただし特約による例外もあり、「借主負担とする」旨が特約に明記され、 その内容を借主が理解した上で署名しているケースでは、借主負担になる場合があります。 特約があれば必ず有効というわけではなく、説明の内容が重要になります。
2. 実施を確認する3点
費用を払うならば、実際に交換が行われたことを確認することが重要です。 以下の3点の提示を求めましょう。
交換業者の領収書または作業記録
業者名・実施日・作業内容が記載された書類。入居日前の日付であることを確認してください。
新しい鍵のシリアル番号(鍵番号)
受け取った鍵に刻印されているキー番号と、交換記録のキー番号が一致するか確認できます。
交換前後のシリンダー型番
同型番のシリンダーへの交換(いわゆる「流用」)でないことを確認できます。
3. 鍵が交換されていない場合のリスク
費用を払っているにもかかわらず、実際には鍵が交換されていないケースが指摘されています。
実態として起きていること
- 前の入居者が合鍵を返却しておらず、物理的に解錠できる状態
- 同じシリンダーへの交換(「流用」)で前の鍵が使える状態
- 実施日が入居後だった(入居前に交換されていない)
入居後に確認が難しくなるため、鍵の受け渡し前に確認を求めることが効果的です。
4. 費用の確認・交渉方法
鍵交換代の交渉は「払わない」ではなく「実施と根拠を確認する」姿勢が基本です。
確認メールに含める内容
- 借主が負担する根拠(ガイドライン上は貸主負担が原則のため)
- 交換業者名・実施予定日・作業内容
- 交換後の鍵番号の提供
- 交換業者の領収書のコピーの提供
5. 業者の返しパターンと対処
「前の鍵はすべて回収しています」
「回収済みであれば合鍵の流出リスクはないと思いますが、その場合でも借主負担とする根拠はどこにありますか。また実際の交換日と業者を確認させてください」と返しましょう。
「セキュリティのために交換しています」
「セキュリティのための交換であれば、実施を確認できる書類(業者の領収書・鍵番号)をいただけますか。交換日も入居前であることを確認したいです」と伝えましょう。
「特約に書いてあります」
「特約の記載は確認しましたが、借主負担とする理由の説明を受けた記憶がありません。また実際の交換実施を確認する書類の提供をお願いできますか」と確認しましょう。
6. 参考:関連する判例
東京地方裁判所 平成21年9月18日判決(RETIO78号掲載)
鍵交換費用を借主負担とする特約の有効性について判断した事例。 以下の4要件が全て充足されていた場合に有効とした。
- ① 広告(賃貸情報サイト等)に借主負担の記載があった
- ② 重要事項説明書に借主負担の記載があった
- ③ 賃貸借契約書に借主負担の記載があった
- ④ 口頭での説明があった
逆にこれらの要件のいずれかが欠けている場合は、特約の有効性が問われ得ることを示した判例でもある。
参考・出典
- 1.「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について(再改訂版・平成23年 / 鍵の取扱いを明記) — 国土交通省 住宅局
- 2.宅地建物取引業法 第35条(重要事項説明義務)(費用説明義務の根拠条文) — e-Gov 法令検索
- 3.東京地方裁判所 平成21年9月18日判決(鍵交換費借主負担特約の有効性 / 4要件充足で有効) — 裁判所(RETIO78号掲載)
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