賃貸費用チェッカーβ
お役立ち記事
書類確認重説・宅建士記名

重要事項説明書に宅建士の記名・押印がない場合は何が問題か

重要事項説明書を受け取ったとき、宅建士の記名欄が空白だったり、押印がなかったりするケースがあります。これは宅建業法上の義務に関わる問題です。確認方法と対処法を解説します。

結論:宅建士の記名は法律上の義務。空白のままは書面上の証明がない状態

宅建業法35条5項は、重要事項説明書への宅建士の記名を義務づけています。記名欄が空白の場合、宅建士が実際に説明したことの書面上の証明ができません。業者に対して記名済みの書面の再交付を求めることができます。

1. 宅建業法35条が定めること

宅地建物取引業法35条は、宅建業者が不動産の売買・賃貸の契約前に、 重要事項を説明することを義務づけています。賃貸借では、家賃・敷金・解約条件・ 設備の状況など借主の判断に必要な情報を、書面を交付して説明しなければなりません。

35条の主な要件

  • 35条1項:重要事項を宅建士が説明しなければならない
  • 35条4項:説明時に宅建士証を相手方に提示しなければならない
  • 35条5項:重要事項説明書に宅建士が記名しなければならない

この3つは別々の義務です。記名欄が空白であれば35条5項の義務が履行されていません。 また、宅建士ではない担当者が説明した場合は35条1項の義務が履行されていません。

2. 記名がない場合に何が問題か

誰が説明したか書面上で特定できない

説明の責任が誰にあるかが書面から分からない状態になります。後から「説明した」「しない」の争いになったとき、書面上の根拠がなくなります。

説明内容の証明力が低くなる

重要事項説明書は、「この内容を宅建士が説明した」という証拠書類です。記名がなければその証明力が下がり、借主が「説明を受けていない」と主張する根拠になり得ます。

宅建業法違反の可能性

記名なしは35条5項違反に当たる可能性があり、業者への行政指導・処分の対象になり得ます。宅建行政(都道府県)に申告する材料になります。

3. 書類で確認すべき3点

1

説明者欄に宅建士の氏名・登録番号があるか

重要事項説明書の末尾または冒頭に、説明を行った宅建士の氏名と宅建士証の登録番号が記載されているか確認します。

2

記名・押印が説明日より前の日付になっていないか

記名欄の日付と説明日が一致しているか確認します。日付が契約日より後になっている場合、事後的な記入の可能性があります。

3

説明時に宅建士証の提示があったか

宅建業法35条4項は、説明時に宅建士証を相手方に提示することを義務づけています。提示がなかった場合も業者側の義務違反になり得ます。

4. 対処の方法

記名欄が空白であることを確認したら、以下の順で対処します。

記名済みの書面の再交付を求める

「重要事項説明書に宅建士の記名がありません。宅建業法35条5項の要件を充足した書面を再交付いただけますか」と書面で依頼します。

説明者の宅建士資格を確認する

国土交通省の宅建士検索システム(一般財団法人不動産適正取引推進機構のWebサイト)で、担当者の宅建士登録を確認できます。

業者が対応しない場合は宅建行政へ

都道府県の宅建業者担当部署(東京都なら都市整備局)に申告できます。35条違反は業務停止・指示処分の対象になり得ます。

重説書類を含む見積書を診断する

確認すべき論点 + 送信用メール文面を生成 980円

診断して確認メールを生成する →

交渉フローを確認する(無料)→

5. 業者の返しパターンと対処

「担当者が記名を忘れただけです」

「書類を補完いただけるとのこと、ありがとうございます。宅建士の記名・登録番号・説明日の記載がある書面を書面でご交付ください」と確認しましょう。

「宅建士が説明したのは間違いありません」

「口頭のご確認はありがとうございます。書面上の記名も35条5項の要件ですので、記名済みの書面をご交付ください」と伝えましょう。

「そういった対応はできません」

書面での回答を求め、対応しない場合は都道府県の宅建行政窓口への相談材料になります。「宅建業法35条5項の履行を書面で確認させていただく必要があります」と伝えましょう。

関連記事