仲介手数料1ヶ月は違法?0.5ヶ月が原則の根拠と交渉方法
見積書に「仲介手数料:賃料1ヶ月分」と記載されていることがあります。宅建業法上の原則は0.5ヶ月分であり、1ヶ月分とするには特定の要件が必要です。差額の確認方法と交渉の進め方を解説します。
結論:1ヶ月分には借主の書面承諾が必要
宅建業法46条により、仲介手数料は借主・貸主の合計で賃料1ヶ月分が上限。借主側からのみ1ヶ月分を受け取るには、原則(0.5ヶ月)の説明と借主からの書面による承諾が必要とされています。これが得られていない場合、差額について確認を求める余地があります。
1. 宅建業法上の原則
0.5ヶ月
借主側の法定原則
宅建業法46条・国交省告示
1ヶ月
借主・貸主の合計上限
双方合算での上限
宅地建物取引業法第46条および国土交通省告示(昭和45年建設省告示第1552号)により、宅建業者が受け取れる仲介手数料の上限は 「依頼者(借主・貸主)双方から合わせて賃料1ヶ月分」と定められています。
この場合、借主・貸主それぞれから受け取れる上限は0.5ヶ月分が原則です。 借主側から1ヶ月分を受け取るには、①原則の説明を行い、②借主の承諾を書面で得ることが必要とされています。
よくある誤解
2. 1ヶ月分が成立する条件
以下の3つが揃っている場合、1ヶ月分の請求は成立しやすい状態と言えます。
原則の説明があった
「通常は0.5ヶ月ですが、今回は1ヶ月になります」という説明を受けていること。
書面による承諾
重要事項説明書または別の書面で、1ヶ月分の承諾が明記されていること。
貸主側からの受領がない
業者が貸主からも手数料(広告料・AD等)を受け取っていない、または合算で1ヶ月分を超えていないこと。
①なしに②だけある場合
3. 確認すべき3点
原則(0.5ヶ月)について説明を受けたか
1ヶ月とする根拠・書面承諾がどの書類に記載されているか
貸主側(オーナー)からの広告料・ADの有無
3つ目(AD)は「教えてもらえない」でも記録になる
4. 業者の返しパターンと対処
「業界の慣行です」
慣行は法律上の根拠ではありません。「原則0.5ヶ月についての説明と書面承諾がどこに記載されているか教えてください」と返しましょう。
「重要事項説明書に書いてあります」
記載の有無と、その前に原則の説明があったかは別問題です。「記載は確認しましたが、0.5ヶ月が原則であることの説明を受けた記憶がありません。確認させてください」と伝えましょう。
「オーナーから受け取っていません」
もし事実であれば0.5ヶ月分が残るはずです。「では差額の0.5ヶ月分はどのような根拠で請求されていますか」と続けましょう。
「貸主から広告料をもらっています(AD)」
貸主・借主合計の上限は1ヶ月分です。ADを受け取っている場合、借主からは受け取れる金額が減ります。「ADと借主側手数料の合計が1ヶ月分を超えていないか確認したい」と伝えましょう。
5. 交渉の進め方
感情的な交渉ではなく「確認する」という姿勢が効果的です。 メールで送ることで記録が残り、業者も軽率な回答がしにくくなります。
契約前・申込前が最も有効
差額を全額戻すのが難しい場合
参考・出典
- 1.宅地建物取引業法 第46条(仲介手数料の上限規定) — e-Gov 法令検索
- 2.昭和45年建設省告示第1552号(現:国土交通省告示)(宅建業者が受けることができる報酬の額) — 国土交通省
- 3.東京地方裁判所 令和元年8月7日判決(書面承諾なき1ヶ月分受領に対する不当利得返還命令) — 裁判所
- 4.東京高等裁判所 令和2年1月14日判決(上記一審を支持・宅建業法上限規制の厳格適用) — 裁判所
6. 参考:関連する判例
東京地方裁判所 令和元年8月7日判決
仲介業者が賃貸借契約の媒介に際し、媒介契約書を締結せず、かつ借主への原則説明を行わないまま賃料1ヶ月分の仲介手数料を受領した事案について、超過分(賃料0.5ヶ月分)を不当利得として返還するよう命じた。書面承諾の欠如が返還命令の根拠となった事例。
東京高等裁判所 令和2年1月14日判決(上記の控訴審)
一審判決を支持し、媒介契約前の承諾なしに賃料1ヶ月分を受領することの問題性を改めて確認した。宅建業法の上限規制と承諾要件を厳格に適用した控訴審事例。
関連記事